インパチェンス〜あざやかな人〜 Girl Side




私には好きな人がいる。
その人は今、真紅のローブを着て、空を飛びまわってる。
その姿はいつ見ても綺麗で。


「ハリー!僕にもファイアボルト乗せてくれよ!」

ハリーが気持ちよさそうに飛んでいるのを見上げながらロンが大声でそう叫ぶ。
ハリーは、すぐに降りてきて、笑顔でロンに箒を渡した。

「はい。」

ハリーの瞳は夕焼けの赤に映えて、とても綺麗な緑色に見えた。
そして、寒さで少し頬が紅潮している。

!練習見に来てたんだ。」
「うん。ロンに誘われて。一人じゃつまんないからって。」
「ハーマイオニーは?もしかして勉強してるとか?」
「その通り!明日ルーン文字学のレポート提出日なんだって。」
「いつも大変だよなぁ〜。ハーマイオニーは。」

ハリーはそう言って苦笑する。


実はハーマイオニーが来ない理由はレポートのためではなかった。
数時間前、ハーマイオニーはにこう言った。
『私がなんとかしてあげるからあのほんわかしてて鈍いハリーにちゃんとの気持ちを伝えなさいよ』と・・・
(でもはロンとハーマイオニーの方がよっぽど鈍いと思っていた。
敢えてハーマイオニーには言わなかったが)
は頑張って遠慮してみたのだが、
ハーマイオニーだけでなくロンまでも張り切りだしてしまったので今に至る。


「あの・・・ハリー?」

がハリーにそう話しかける前に、ロンの方をチラッと見ると、
ロンと目が合った。
しかし、ロンはわざと気づかないフリをしてそのままぐるぐる飛び続けていた。

・・・僕、話あるんだけど・・・」
「うん・・・何?」
「もしも僕が・・・」
「・・・?」

ハリーの緑の目がメガネ越しに見える。
もう日も暮れかけていた。

心なしかハリーの顔がさっきよりも近くに感じる。
ハリーは決して目を離さずにを見た。
もハリーから目が離せなくなる。

がハリーの目に見とれていると、
ハリーの唇がの唇をかすめた。

「こんなことしたら困る?」

しかし、は今一瞬で何が起こったのかいまいちよく分からなかった。

「困らない・・・けど・・・」
「けど?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「嬉しい・・・」

の口から思わず本音がこぼれた。
思わず口を手で押さえる。

今頃になって気づいた。
自分は、今、ハリーとキスしたんだ!!

「僕は、が好きなんだけど、は?」

はますます顔が赤くなるのが自分でもよく分かった。

キスされて嬉しいって言っちゃった後にハリーのことが好きって言えるほど私人間出来てないんです!


「わ、私は・・・」

が言おうか言うまいか(結局言わなければならないのだけれど)迷っている時――


「ハリー!ファイアボルトサンキュー!サイコーだよ!」

ロンが戻ってきたのだ。
ロンは『自分は任務を果たした、よくやった』という表情をしていたが、一方でハリーは苦笑いを浮かべていた。

「いいえ。どう致しまして。本当にグッドタイミングで。」
「あれ?ハリー、目が笑ってないんだけど・・・」
「さ、、夕飯食べに大広間行こうか。」
「そうね。」
「あ、ロン、もう少し箒で空飛んできたら?」
「あれ!?僕、なんかマズイことでもした!?」
「全然。」
「だから目が笑ってないってば!ハリー!」
「ロン、箒、ちゃんと片付けといてね。」
「えぇ!?ちょっ・・・ちょっと待っ・・・」


ロンはただ一人、意味も分からず、数日の間ハリーに憎まれていたのでした。



おしまい