アマリリス 6
その日、家に帰り、さくらは一人で考えていた。
今が告白の最大のチャンス…!?
そう考えた途端、さくらの胸は急に高鳴りだした。
“告白”。
そんな言葉、一生縁がないと思っていた…
だけど。
今のこの状態は、どう考えても神様が与えてくれたチャンス。
でも!!!
でもでもでも!!!!!
そんなこと、私に言える!?
今まで、男の人と話すのが大の苦手で、好きな人ができても何にもせずにいた私に。
さくらは、『サクラ』を開いた。
そのページにはこう書かれていた。
『自分は、変わるものじゃない。
よく、「変わりたい!!」なんて言うけれど、
本当はそうじゃないんだ。
「変えよう」って思った瞬間から、あなたは変わってる。
もう前の自分とは違う。
そう思えたら、新しい自分への第一歩。』
さくらはその詩を読んですぐに家を飛び出した。
そうだよね。
自分って、環境が変えるものじゃないんだ。
自分で自分を変えることって十分可能なんだ…
さくらは、車がないため、バスで蓮のバイト先へ向かおうとしていた。
バス停に着いたとき、声を掛けられた。
「佐野さん?」
「あ、舘花君っっ!?」
「どうしたの?こんなところで…」
「あ、えっと…その…ちょっと…買い物…に?」
あああっ!
なんで自分のことなのに疑問形なのよっ!?
さくらはもう頭の中が混乱していた。
「あぁ。そうなんだ。俺は、今からバイト。ほら、例のファミレスね。」
「あ、そうなんだ。」
まだバスは来ないみたい。
周りには人はいない。
云うなら今…
さくらはそう思った。
心拍数が尋常じゃない。
体が壊れそう…
「バス遅いな…」
「うん…」
「この前…さ、持ってる本一緒だって言ったじゃん?」
「うん…」
「あれね、実は…佐野さんが読んでるの見て買ったんだ。」
「…えっ!?なんで私なんかの…?」
「いや…それは…」
さくらが蓮の顔を見ると、蓮の顔は真っ赤になっていた。
「そ、その……」
蓮くんが…
言葉に詰まってる?
その時、さくらは気がついた。
緊張するのは、自分だけではないのだと。
「俺…ずっと前から佐野さんのこと気になってたんだ…」
「え…」
「ほ、ほら、バス、いつも一緒だろ?そしたら…そのうち…」
さくらの頭は何の機能も果たさず、ただ、口だけが独りでに動いた。
「私も、舘花くんのこと、ずっと気になってたよ。」
「…ふぇっっ!?」
蓮はパッと口を押さえた。
「ごめ…思わず…」
自分と同じように緊張して真っ赤になっている蓮を見て、さくらは少し嬉しくなった。
「私も、よく、緊張して、そんな声出しちゃうんだ。」
「…俺、人と話すの、あんまり得意じゃなくてさ…特に…女子の前で…」
「私も。男の人と話すのは大の苦手なんだ。」
「俺…佐野さんと知り合えて本当に良かったよ。」
「私も。」
「あっ、バス来たみたい。」
「本当。」
「良かったら、またお店来て。あの面白いお母さんと。」
「あは。うちのお母さん、変な人でしょ。」
「ちょっとね。(笑)」
「じゃ、またね。」
「うん……」
さくらは蓮の顔を見て、ニコッと笑った。
蓮も笑った。
桜の季節はもうすぐ…
fin...